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2025.06.02
【リーダーズミーティング開催レポート(第4回)】 現場の「試してみた」事例から見えたAI/自動化の現在地と未来

2025年5月23日(金)、ミライエ長岡にて「第4回 ながおかDXリーダーズミーティング」を開催しました。本ミーティングは、地域企業の情報システム責任者が集まり、課題や取り組みを共有することで、地域全体のDX推進力向上を目指す場です。今回のテーマは、「現場での AI/自動化の小さな一歩」~ “試してみた”事例を共有し、明日からのヒントを得る場に ~ と題し、複数社の皆様にご参加いただき、各社が実際に取り組んだAIや自動化の事例、効果、苦労した点などが共有されました。
各社の発表からは、DX推進における多様なアプローチと、多くの企業に共通する学びや課題が見えてきました。

各社の取り組みに見る共通点と多様性

多くの企業が、定型業務の効率化や文書作成支援といった「現場での小さな一歩」としてAIや自動化ツールを導入・試行していることが共通していました。特に、既存のMicrosoft 365環境を活用する形で、Power Automateによる自動化、SharePointやPower Appsによる業務アプリ化、そしてCopilot(または類似の生成AIサービス)による文書作成や情報分析の支援に取り組む企業が多く見られました。また、特定の課題に特化した外部サービス(リーガルチェックAI、クローズド環境の生成AIサービスなど)や、特定のRPA製品を利用する事例も紹介されました。
推進体制や導入のきっかけは様々で、現場からの提案を起点とするもの、経営層の強い指示による全社展開、DX推進部署や情報システム部門が主導するもの、さらには独自の社内制度(業務時間の5%ルール)を活用した社員の自律的な開発 といった多様なアプローチが共有されました。

「試してみた」から見えてきた共通の課題と学び

今回の共有を通じて、多くの企業が共通して直面している課題や、DX推進を進める上での重要な学びが浮き彫りになりました。

  • 利用状況のばらつき:
    ツールの導入は進むものの、実際に活用する従業員とそうでない従業員の間で利用状況に大きな差がある点が多くの企業で課題として挙げられました。
  • 導入効果の測定:
    AIや自動化の導入による具体的な費用対効果や業務効率化の度合いを数値で示すことの難しさを実感する声がありました。
  • 属人化と管理:
    現場主導や社員の自律開発で生まれたツールや自動化プログラムが属人化し、メンテナンスや管理が課題となるリスクが指摘されました。
  • 従業員への浸透:
    ツールを「使える状態にする」だけでなく、実際に「使ってもらう」ためには、従業員への教育、理解促進、そして試行錯誤のための時間確保が不可欠であることの重要性が再認識されました。
  • セキュリティと利用ルールの線引き:
    特に生成AIの利用にあたっては、情報漏洩や著作権侵害のリスクへの懸念があり、セキュリティガイドラインの策定やクローズドな環境の選択といった対策が重要であることが共有されました。また、AIにどこまで判断や作業を任せるかの線引きに悩む事例もありました。
  • 技術的・組織的な壁:
    古いPC環境での処理遅延 や、基幹システムとの連携の難しさ といった技術的な課題に加え、関係部署や関連会社との調整、社内での相談相手探し といった組織的な課題に直面するケースもありました。

今後の展望

各社とも、導入したツールの利用範囲を拡大・深化させたり、自社でのメンテナンスや開発体制を強化したり といった今後の展望を共有しました。また、業務アプリ開発 やデータ分析へのAI活用 といった、さらに一歩進んだ取り組みへの意欲も示されました。
事務局からは、会議資料作成に生成AIツールを活用した事例が紹介され、DX推進業務そのものにおけるAI活用の可能性が示唆されました。
今回のミーティングは、各社のリアルな「試してみた」事例を共有し、DX推進における共通の課題や今後の進め方について深く考える貴重な機会となりました。今後もこのような情報交換の場を通じて、地域全体のDX推進力を高めていくことが期待されます。