現場の対話から始めるDAX
ながおかDXセンターが伴走した、業務改善支援の一例
DXという言葉は広く浸透しましたが、現場では「何から始めればいいのかわからない」「ITツールを入れても業務が変わらない」といった声も少なくありません。
こうした状況のなかで、近年はAIを業務変革にどう生かすか、いわゆるAXの視点が重要になっています。
(※ながおかDXセンターでは、DXからAXへ変革を止めない意味でDAXとしました)
ながおかDXセンターでは、単に新しいツールを紹介するのではなく、現場の困りごとを起点に、業務の見える化から改善仮説の整理、さらに小さな実証までを一貫して支援する取り組みを行っています。今回は、その進め方がイメージしやすいよう、実際の支援内容をもとに一般化した事例をご紹介します。
相談の出発点は「業務がつながっていない」という悩み
ある事業者では、複数の部門にまたがる作業が存在し、情報の受け渡しや確認が人手に依存していました。
さらに、過去の経緯から複数の仕組みが並存しており、同じ内容を何度も入力したり、確認のために別の担当者へ問い合わせたりする場面が多く見られました。
こうした環境では、担当者ごとの経験や勘に頼る部分が増え、繁忙期に負荷が集中しやすくなります。
現場の皆さまも課題は感じているものの、「どこから手を付ければよいのか整理しきれない」という状態でした。
まず行ったのは、現場の話を丁寧に記録すること
AXというと、いきなりAIに判断を任せるイメージを持たれがちです。
しかし実際には、その前段階として現場の状況を正確に捉えることが欠かせません。
支援の初期段階では、複数部門へのヒアリングを重ね、日々の流れや困りごとを確認しました。
このとき役立ったのが、会議やヒアリングの記録をもとに、内容を構造化された議事録として整理する方法です。
単なる文字起こしではなく、
・何が話題になったのか
・どこに課題があるのか
・何が決定事項なのか
・次に誰が何をするのか
を分かる形にまとめることで、後から見返しても認識のずれが起きにくくなります。
特に、現場ヒアリングでは会話量が多く、重要な論点が埋もれやすいため、AIを活用して論点やアクションを整理することで、記録作成の負担軽減と内容の均質化が期待できます。
記録を「読む」だけでなく、「考える材料」に変える
ヒアリング内容が蓄積されても、それだけでは改善にはつながりません。
次のステップでは、議事録や業務フロー、課題一覧などをもとに、課題の分類と改善仮説の整理を進めました。
たとえば、現場で見えてきた論点を整理すると、
・手作業が多い工程
・同じ内容を繰り返し扱う工程
・部門間の受け渡しで確認が発生しやすい工程
・人によって判断がぶれやすい工程
といったように、共通する傾向が見えてきます。
ここでAXの考え方が有効になります。
AIにすべてを任せるのではなく、AIが得意な領域と、事前のルール整備やデータ整理が必要な領域を切り分けるのです。
その結果、「すぐ試せるもの」「少し検討すれば着手できるもの」「次年度以降に取り組むもの」といった形で、改善テーマに優先順位をつけやすくなります。
これにより、提案が机上の空論ではなく、現実的な実行計画へと近づいていきます。
小さく試すPoCが、現場の納得感を高める
改善案は、提案して終わりではありません。
実際に効果が見込めるのか、現場で使えるのかを確認するために、小規模なPoC(概念実証)を行うことがあります。
この事例でも、判断支援を行う簡易な仕組みを試作し、候補の提示や判定の補助を行う流れを検証しました。
ポイントは、AIが自動で処理する部分と、人が確認する部分を明確に分けたことです。
具体的には、処理結果を
・自動で確定できるもの
・人の確認が必要なもの
・新しく扱うべきもの
のように段階分けし、人が最終的に関与する設計にすることで、安全性と実務適用性の両立を目指しました。
このようなHuman-in-the-loopの考え方は、AXを現場に定着させるうえで非常に重要です。
現場にとって安心して使える仕組みであることが、継続利用の前提になるからです。
AXは「業務ありき」で進めることが大切
この支援事例から見えてくるのは、AXは特別な取り組みではなく、現場の困りごとを丁寧に整理した先にある実践だということです。
進め方としては、次の3段階が有効です。
まず、現場の会話や業務の流れを記録し、見える化する。
次に、その情報をもとに課題を整理し、改善仮説を立てる。
そして最後に、小さく試して有効性を確認する。
この流れを踏むことで、AI活用が単発の実験ではなく、継続的な業務改善につながりやすくなります。
また、記録作成、要約、整理、比較、候補提示といった支援は、多くの業種・部門で共通して活用しやすい領域です。
ながおかDXセンターが目指す支援
ながおかDXセンターでは、ツールの導入そのものを目的にするのではなく、現場に合った進め方を一緒に考える伴走支援を重視しています。
「相談内容が漠然としている」
「課題はあるが整理できていない」
「AIを試してみたいが、何に使えるかわからない」
そうした段階からでも、ヒアリング、可視化、整理、実証という順で進めていくことで、具体的な一歩を見つけやすくなります。
AXは、派手な仕組みを一気に入れることではありません。
現場を理解し、業務を整え、試しながら前に進めること。
その積み重ねが、無理のない変革につながっていくと私たちは考えています。
※掲載イラストは生成AIを活用して作成したイメージです。
